演 目
マリ☆ナイト
Contemporary Dance Performance 001 再演
観劇日時/06.3.24
振付・構成/福村まり
音楽/今井大蛇丸
照明/柳川友希(鈴木亮介)
音響/吉田志帆
制作/Theater・ラグ・203 たなかたまえ
協力/高橋正和
劇場/ラグリグラ劇場

原始生命体の誕生と成長

 6つのタイトルのついた、オムニバス風のダンス・パフォーマンス。

1、 エ・ア・オ・ウ
心拍音が大きく小さく、BGMを伴って低く響く。真っ黒で囲われた空間に浮かび上がる肉体は、蠕動し痙攣し、あたかも生命の最小単位の原始的な細胞の誕生か、意思を持たない胎児の誕生を予告しているようだ。

2、 JIKO-ZOSHOKU
床に広げられた衣服と、抽象的な下着姿のような女が、左右に対象される。女は余り動かず、一瞬の暗転毎にわずかにその体勢を変える。そのたびに衣服も置いてあったり消えたり……
誕生したばかりの肉体が、衣服という文明と最初に対峙するナイーブな躊躇が感じられる。

3、 ヴォルケーノ エナージー
寝転んで上に伸ばした2本の脚の動きは肉体の生々しさを離れて、まるでその両脚自体が別の生き物であるか、あるいは硬質で切れ味の鋭い動く彫刻なのか……

4、 DoNnA trip
 ばら撒かれた布切れの中を、四つん這いになって走り回り、布切れを咥え振り回して集めたり、まるでじゃれて狩猟するネコ科の猛獣。
   突然、変態して、ふわりと広がるスカートの人形のようなコスチュームで、滑らかで柔らかい動き。
   石蹴り、ジャンケン、体操の平均台のような不安から飛翔への助走。
   上手手前から、下手奥の一条の細い光へ向って静かに歩を進める。
この辺からタイトルとどう繋がっていくのか分からなくなってくる。というより既にこの区分けがその通りなのかどうかも判らない。だが不思議で魅惑的な40分であった。終わってフト現実に戻ったとき、時間の感覚が判らなくなっていて、1時間以上も経っていたような気がした……


さて質問を3つほど。
1、 このパフーマンスのルーツ・原型は何なのだろうか? 福村まりの完全オリジナルなのか? クラシックやモダーンあるいは暗黒舞踏の影響があるのだろうか?
2、 身体の動かし方、いわゆる振りとか手順とかは確定されているのだろうか? アドリブ即興的な部分はあるのだろうか? 音響や照明とのタイミングもあるはずだとは思うが。
3、 リズムを崩してバランスを失った瞬間が二度ほど感じられたが、これは失敗なのか? 意識的なものなのか。