演 目
世界一醜い男
観劇日時/06.3.4
劇団名/劇団しろちゃん
公演回数/ぐりとぐらとラグリグラ公演
作・演出/太田俊平
照明/今達矢
音響/笹川芳晃
衣装/坂本恵理・川上麻里江
小道具/畑中泰大
舞台/中村圭一・浅野哲史・畑中泰大
情宣/佐々木亜里沙・永井宏治
制作/浅野哲史
劇場/ラグリグラ劇場

類型に陥った典型

 醜いがために疎外された男が、優しさと実行力でお姫様を助ける物語。この男はまるで『オペラ座の怪人』のようなマスクを着けて活躍する。だが2時間の長編は、テンポのたるみもあって退屈だ。半分くらいは眠ていた。
醜い男の哀愁はまったく伝わらず、話もありきたりであり、あの『イシン』(05年11月/マルチスペースFで上演)の、骨太で奇想天外の面白さと、狭い空間ではあるが縦横無尽に埋め尽くしたエネルギーとそのスピード。『公園キャンプ』(05年5月/ラグリグラ劇場で上演)で見せた小品だが鋭い焦点をもった佳品の魅力は一体どこへ行ったのだろうか?
一つの集団が、続けて秀作を創るのは容易ではないという見本のような今日の舞台ではあった。
出演は、
男/広瀬公彦 姫/高橋春香 魔女/小川原香織
妖精/三浦千明 勇者/青山洋路 王様/中村圭一
大臣/吉田裕祐 兵士1/浅野哲史 兵士2/太田俊平
この配役表の登場人物をみても判る通り、メルヘンチックな物語である。メルヘンだから深さが出ないということはまったくない。むしろメルヘンの裏に潜む何事かを掘り出してくれば面白かったのだが、そうはならなかったようだ。
気になるのは、前回の『イシン』、前々回『公園キャンプ』のメンバーの名前が今回はとても少ないということだ。
『イシン』のメンバーで、今回も名前が出ているのは、三浦千明・畑中泰大・広瀬公彦・中村圭一・今達矢・浅野哲史・小川原香織・太田俊平・坂本恵理・高橋春香・青山洋路・川上麻里江などであり、作・演出の太田俊平以外は、役者の主要どころがほとんど今回名前が出ていない。その太田俊平も前回は役者としての出演のみである。
『公園キャンプ』に到っては、吉田裕祐と太田俊平・川上麻里江の三人だけしか見えない
この事実は、この集団にとっていったい何を意味するのだろうか?