演 目
ブラック・コメディ
観劇日時/06.2.18
劇団名/TPS養成所卒業公演
作/ピーター・シェーファー
演出/宮田圭子
照明/黒丸祐子
音響/川ア勇人
出演/佐藤健一・成田麻美・深沢愛・長岡卓・藤岡あかり・堀内まゆみ・川ア勇人(TPS)
劇場/シアターZOO

誠実な学生たち

 俳優養成所の公演には、どうも不向きな演目だという疑問はずっとあった。よく創られたいわゆるウエルメイドプレイである『ブラック・コメディ』を、年齢層の狭い若い役者の卵たちが演るには無理があって、しかも入場料をとって見せるのも何だかなあと思っていたわけだ。それにも関わらず毎年この出し物を続けていくからには別の目的があるわけだ。
この演じるに難しい戯曲に挑戦するという勉強の意味があるのだろう。実年齢とは違った役柄を演じることが、もちろん等身大の役もあるけれども、年齢の近い学友が年配の役柄を演じるのを間近にみて、感じることがあるはずだ。
入場料については初めから戯曲相当の舞台を期待しているわけじゃないからいわばご祝儀だ。卒業おめでとうだ。
さて今回はそういう思いを感じさせないほどの出来であった。おそらくかなりカットしたのではないか、スリムになった分、締まってアラが目立たなくなったのではないか、もしノーカットだとしても、そう思わせる力があったということだ。
ただ全員全編、発声のテンションが高いのが、この作品にてとって決定的なダメージだが、それさえも逆に清潔な誠実さと思わせるものがあったのである。