演 目
星の砂漠
観劇日時/05.3.20
劇団名/劇団・極
作・演出/滝沢修
照明/鈴木静吾・鈴木志保
美術/川崎舞(千年王國)
振付/杉吉結
協力/安藤真利子・成田りずむ
劇場/シアターZOO


砂漠化した星としての地球

 
再演された今日の舞台を観て、非常にはっきりしたことがある。一言でいえば、星とは地球であり、砂漠とは死枯ということであるが、それが今度で明確になった。
三人の科学者と職人が自分たちの行く道を見失ったという冒頭の設定からすでにその意味がはっきりと予感されたのである。三人の人間たちが歌い踊るのは自らの生命の終焉を一刻とも忘れたいために狂演する態の謂いであろうか? 科学者とは地球砂漠化を導いた者たちであり、職人はその技術をもって具体化した者であろう。
次の景に現れた博物館に展示された巨大獣の骨は滅びたこの星の生命か? そして旅する隻脚の若者は回復不能の肉体を持ち、「永遠の記憶」と名付けられた彷徨う人類だ。
こうしたシビアな主題を内包しつつ、柔軟に軽快に動く「極」の舞台は、観る者に重い問い掛けを投げ掛ける。初演の舞台に較べ今度の再演は重点を絞って引き締まった成果が挙がった。
博物館の学芸員と二人の警備員の、日常的でいながら時折見せる非日常性が、この劇の主題にマッチする焦慮感を表した。
最後に巨大骨に降り注ぐ膨大な量の本物の砂は、美しく哀しく、滅び行くこの星への挽歌であったか……
同じテーマを直接的に告発した「シアター・ラグ・203」の『だから彼女は舟へ……』と較べて、詠嘆的にペシミックに表現して好一対をなした作品である。
出演 石川美也子・尾形岳之・甲斐大輔・樫木貴史
   鈴木隆之・滝沢修・長崎睦子・西山美紀子
   比屋定尚美・山田点(だいこん倶楽部)