演 目
スイッチ・オン
観劇日時/05.3.6
劇団名/劇団ダイナマイト
公演回数/第49回公演
作・演出/大島未由希
制作/佐々木貴弘
舞台監督/坂本峰夫
舞台監督補佐/一戸美咲
情宣・音響/出町紘一
情宣美術/綿谷直人
劇場/ラグリグラ劇場


シュチューエーションの酷似

 ある流行推理小説作家(=藤原博之)に仕える絶対服従のロボット(=飛岡匡徒)。出来損ないのダメロボットに業を煮やした作家は、担当の編集者(=伊原宣子/Wキャスト=高谷友美)と相談して、優秀な新しいロボット(=池田真理子)と取り替える。しかし新しいロボットの優秀さに接するにつけて、作家は元の人間臭いダメロボットが気になってくる。
ついにその作家は、元のロボットを探し出し、修理をしてまた二人の静かな生活に戻った。
これを観て驚いたのは、ふかがわ市民劇団の五十川志織が書いて上演したミニドラマ、「空を見上げて―青空の下の伝言板」にそっくりなことだ。それは少女と彼女の孤独を癒すロボットの話なのだが、人間とロボットが次第に感情を交錯させていくというシチュエーションがあまりにも酷似しているのでびっくりしたわけだ。みればこの作者も大学生ではあるが若い女性だ。
この劇団(ダイナマイト)の前作(「赤色走馬灯」=04年3月14日上演)では、前編に亘る激しいテンポの崩れと大仰なオーバーアクションに悩まされたが、今回は編集者役の無意味なハイテンション以外は、意外とリァリティある演技者たちの創る舞台は好感がもてた。
流行作家の書斎が粗末で、デスクは小さな卓袱台のような折りたたみ式の座り机だったり、壁に掛かっているのが大きな古いボンボン時計だったり、貧相な本箱は古臭い茶箪笥を塗りなおした代物だったり、金持ちの凝ったアンテークというよりは、50年前の我が貧乏学生の下宿のようで懐かしく笑ってしまった。
だからこのロボットは、ロボットとはいうもののなぜか妙に人間臭いのは当然であった。