演 目
コーカサスの白墨の輪
観劇日時/05.3.2
企画・製作/まつもと市民芸術館・北海道演劇財団
演出・美術/串田和美
衣裳/ワダエミ
音楽/朝比奈尚行
照明/齋藤茂男
音響/市来邦比古
技術監督/眞野純
舞台監督/大垣敏朗
劇場/北海道教育文化会館大ホール


のりのいい観客たち

 エンターテインメントに徹したハイテンションな舞台。それを受けてのりのいい観客。新しい音楽劇としては中々魅力的な出来であった。
秩序を破壊するめちゃくちゃな騒動の中から、新しい世界が生まれてくる経過が楽しめる構成である。
休憩を入れて3時間20分、しかもその15分の休憩中も舞台上に観客を上げてワインを販売し、それを飲みながら演奏を聞く、という型破りのサービス。
お客さんもワイン飲みながら手拍子でのっているという雰囲気、芝居をというか、劇場にいる自分たちを心から楽しんでいるわけだ。だからこの3時間20分はちっとも長くは感じられない。
特にラストの村人の歓喜の踊りの輪に、観客も舞台に上げて一緒に踊る場面はまるで盆踊りみたいで、出演の役者や演奏者たちと祝祭の場を楽しんでいるのが、一観客である僕にも少しも白けずに、演劇を超えて祭り好きのこちらにも楽しめたのであった。休憩のときに飲んだ一杯のワインが効いたのかも知れないけれども……
問題はそのエンターテインメントに重点をおき過ぎたせいか、肝心のメッセージ性が極端に弱くなったことである。だからむしろ去年、プレステージで上演された舞台の方が僕には好もしかった。それもやっぱりエンターテインメント性を重視したつくりではあったが、これほどではなかったからだ。
 誠実さに裏打ちされた民衆の楽天的ないい加減さが、既成の権威を打ち壊していく痛快さが魅力的だ。