演 目
受 付
観劇日時/05.2.11
劇団名/劇団北芸(釧路)
公演回数/05年公演
作/別役実
演出/小高律夫
効果/佐藤徳子
衣裳・小道具/森田啓子
劇場/シアターZOO


緊迫した舞台

 あるビルの中にある精神神経科クリニックの心療相談所の受付。受付係りの女(森田啓子)が相談者を待つ準備をしている。そこへ45歳のくたびれた会計事務所勤務の男(加藤直樹)が、不眠症ノイローゼで訪ずれる。そして別役独特の不思議な世界が展開される。
女は男の言葉尻を捕らえて、次々と様々なボランティアの会への入会を勧誘する。強制はしないと言いながら、どうしても入会せざるをえないように仕向けていく。
その会とはカンボジァ難民孤児を救済する会、角膜移植を進める会、死体献体の会、などなど……冷静に考えれば、どうして途中で怒って逃げ出さないのかと思うのだが、まるで催眠術に掛かったように次々と約束させられていく。くたくたに疲れた男は、女の制止を無視して診察室に入っていき、やがて茫然と出てくる。診察室には誰もいなかった。蹌踉として男が去った後、女は昂然と言い放つ。
「あなたはそういう所に入っているしか生きる価値はないのだ」と……
別の部屋からさっきの患者とそっくりな医者(加藤直樹)が現われ、「今日はさっぱり相談者が来ませんね」と不審がる。女は「今にきっと来ますよ。来たらすぐに連絡しますから」と平然と言う。
今日の舞台は、昨秋の帯広の上演に比較すると、ずいぶん緊迫した出来上がりになっていたようだ。少し気になったのは、男の動きが同じ繰り返しになって無駄な部分が感じられたこと。女の大事な場面で台詞が詰まりテンポがくずれたことなど。短く凝縮された舞台だからこそ、一瞬の油断も許されない