淡彩な印象 　人形操作技術も演技力もほとんど申し分なく、演出も的確であるが、何か心に残るものが少ない。淡々と進むのが物足りない。 それは次のようなことが考えられるからだろうか？ 脚本を大幅に改変したことの良し悪しは別にして、オリジナルに思い入れの深い自分としてはやっぱり不満が大きい。 メーテルリンクの時代と現代では、幸福の内容の比重に違いがあるんだろうか？　シーンがカットされたり、順番が入れ違ったり、最初に「ぜいたく」のシーンがでるのは当世風であるのか、100年前に書かれたオリジナルの各場面はおそらくそのまま現代に通じると思うがそれをどうアレンジするかが問われるのだろう。それをただカットしてしまっただけのような気がして心残りだった。 技術的なことでは次のようなことが気になった。 人形の表情が硬い。とくに瞳がいかにも描いたような紙か布を張り付けたような死んだ目が不満だ。青い鳥の造形も凝ったわりには舞台栄えせず、はっきりとしたイメージが描かれない。 人形操作では地面の意識が各役者によってバラバラだ。動いているときはそれほど気にならないが、二人以上揃ったときに脚の位置の高さが上下しているのが不自然で気になる。 全体に薄味であり、強い印象が残らなかったことが残念であった。