演 目
ブラック・コメディ
観劇日時/05.2.6
劇団名/TPS養成所
公演回数/第五期研修科・第六期本科卒業公演
作/ピーター・シェーファー
演出/宮田圭子
照明/黒丸祐子
音響/佐々木里美
舞台美術協力/高田久男(セットアップ)
劇場/シアターZOO


若いエネルギーに祝福を

 いきなり大音声、フル回転のブリンズリー(=川崎勇人)の登場である。普通こういういわゆるウエルメイドプレイの芝居は、海千山千手錬の役者が満を持してやらないと、中々面白い舞台が出来上がらないものだ。こういう養成所の学生などという若くて年齢構成にも幅のない集団が取り組むには不向きな演目だ。
しかしあえてこういう題材を取り上げるということは、テキストとして勉強してみるという意識が強いのでなかろうか。であるならば下手な小手先のテクニックは端からあきらめて、力いっぱい精一杯、役の性根に真っ向立ち向かったほうが爽快だ。そしておそらくこの舞台は、そういう意図で創られ、その方向で上演されたと思われる。
だから冒頭で感じられた違和感も、話が進展するうちに逆に新鮮に思われ好もしく爽やかに感じられたのだ。
昨期の養成所でもこの演目が演じられたが、あの舞台は、完成された舞台成果を無理に意識した人工的な不自然さが強く出て、やっぱり無理だなあという思いが強かったのだ。
それに比べると今日の成果は「ブラック・コメディ」という芝居の面白さには到底届いてはいないけれども、養成所の若い学生たちの真摯なエネルギーに心洗われるものがあり、この演劇人の卵たちに期待したいと切に思うのであった。
その他の出演者は……
キャロル=内田紀子・メルケット=山口清美・ハロルド=佐藤健一・シュパンヅィグ=成田麻美・ファーニバル=深澤愛・クレア=山田麻美子。