演 目
master piece
観劇日時/05.1.28
劇団名/劇団SKグループ
公演回数/第18回公演
作・演出/すがの公
衣裳/茂住梓・高田彩華(ラッシュ!!)
ヘアメイク/(ドレスメーカー学院)坂田千秋・氏原志保
照明プラン/相馬寛之
照明オペレート/伊藤梓
小道具/長尾まき・秋田谷美代子
人形制作/三浦明日香(四七式舞台組)
音響プラン/糸川亜貴
音響オペレート/宮森由香
舞台美術/すがの公
協力/上田知
舞台監督/すがの公
舞台監督補佐=白鳥有紀
企画・制作/SKグループ
劇場/シアターZOO


懐かしい泥臭いアングラの味

 ZOOの舞台の前面半分くらいまでを客席に設え、したがって舞台はいつもの半分くらいになってしまった。その狭い舞台一面にIT機器の廃棄されたガラクタを積み上げた廃墟の街が組み上げられている。灰色の死んだ街の情景……たぶん近未来の一つの風景……
十年前、舌足らずで知能が低くすべてを肯定的に幸せであると思い込んでいる12歳の少年・よしろう(江田由紀浩)。やはりそのときも廃墟であったその街で、ある機器の部品を手に入れた。
それは世界を戦場に落としいれようとする国家や国家連合の悪意を実現させる戦士の、後方支援をするべく造られたダッチワイフの部品であった。
いじめっ子仲間の一人であるブー子(福村澄江)の協力で完成されたダッチワイフのロボットはエム子(小山めぐみ)と名づけられ、それを造った舌足らずで知能が低い少年の命令しか実行しないロボットになっていた。
この辺までの話はよく分かる。いや分かったつもりにはなれる。それに成人して普通の青年になった少年(雨夜秀興=g-viruss)や両親・伯母(上田裕美)や従姉妹奇子(鈴木千晴)たちの話が絡んでくると俄然ややこしくなる。外人傭兵の問題や1945年・原爆の話題が入り込んでかなり分かりにくくなってくる。
おそらく世界が悲惨な戦禍の中にあっても文明が極端に進歩してロボットが感情を持つようになっても、ナイーヴでイノセンスな人間の心は不滅なのだと信じたいのであろう。
ラストで少年とエム子が座り込んで楽しそうに話しこんでいるシーンに雪が壮麗に降ってくる場面は確かに美しかった。
屁を垂れるのが感情表現になるブー子や、いじめっ子たちに男根を切られそうになる少年の延々とした描写や、シモネタのあからさまな多出はあまり好きにはなれないが、いかにも昔のアングラ風でこれを笑って受け入れる若い観客層は今風なのであろうか?
大人になったよしろう少年と、母の愛人を演じる雨夜秀興は最初二役だと気がつかないほど巧みに演じ分けて、全体にテンションの高い激しい展開の中で、落ち着いた大人の存在を魅せる演技のメリハリの確かさは、さすがg-virussの役者だと感じ入る。
その他の出演者、田島智美・名取洵子・山田耕平・古崎英美。