演 目
SL
観劇日時/05.1.27
劇団名/劇団千年王國
公演回数/第9回公演
作・演出/橋口幸絵
振付/杉吉結
美術/福田恭一
照明/高橋正和
音響/大江芳樹
衣裳/矢野あい
舞台監督/尾崎要・上田知
プロデューサー/井神拓也
劇場/ポルトホール


減少されたダイナミズム

 前回より大幅にダイナミズムが衰えた感じがする。北海道の最北端にあって廃線になる天北線。その最後のSLに乗り合わせた乗客たちの個人史を通して、昭和史を逆行するという優れた構成の大枠はそのまま残したが、細部に綴られるたくさんのエピソードはほとんど前回とは別のものになっているのではないか? 具体的には思い出せないが、前作にはもっといわゆる社会的な広がりが強くあったと思う。
今度のは何故か、プライベートな愛憎関係の話が多かったような気がする。それとも、そう感じたのはもしかして僕の誤解だったのだろうか?
壮大な歴史的な観点から個人的な対人関係に視点が移ったように思えたし、演出も演技も、ややこじんまりとして纏まったようでもあり、それらの要素が相俟って、初演で強く印象づけられたSLのダイナミズムをも減少させたと思われる。
僕は夕べの疲れもあったのか、二・三箇所でウトウトしてしまった。それは舞台のインパクトが弱いということであるのかもしれない。隣に座った若い男性客、この方は名前をいえば知る人ぞ知る、札幌の個性的俳優の某氏であるが、やはりチラチラと舟を漕いでいた。
前回のあの衝撃的ともいえる舞台に較べると、客席で寝るのも批評のうち、と誰が言ったか忘れたが、今日の僕たちにとってはとても都合のよいお言葉でありました。