演 目
黒いハコ=積=ユキ白く
観劇日時/04.12.25
劇団名/「プ→」
公演回数/Vol.03
作・演出/下屋義仁
演出助手/佐藤真一
音響/下屋義仁
劇場/BLOCH


演技力に見合わない中身の薄さ

 
そのものズバリの純愛悲劇である。二組の若い恋人(浦竜也・成田麻美/高橋完直・横嶋安有美)。その命運を司る山崎孝宏・山田ひかる・今川優一。そしてそれらを神の位置から眺めるサンタ(大谷啓介)と少女(永田雅美)。相思相愛でありながら何となくぎくしゃくするこの4人、ただこの二組は互いに何の接点もなくそれぞれの物語はそれぞれに独立して進行する。やがて悲運が訪れて二組4人の恋人たちに永遠の別れが来る。
 この結末がなんともご都合主義だ。一方の男は、偶然ある母親の怨念の八つ当たりの犠牲になったのだし、もう一方の女は何の意味もなく突然不治の病気に罹る。このあまりにもストレート過ぎる話の展開にいったい何の意味があるのか?
 全体にシンメトリィを微妙に崩したミザンセーヌの巧さ、「清しこの夜」のメロディの小さなオルゴールだけをほとんどただ一つの小道具としたシンプルさ、淡々と話を進め一気にクライマックスへもっていくメリハリなど、職人芸的な演出の巧みさと、それに応える演技陣の表現力がとてももったいないと思える話の内容だ……「幸せと不幸せはいつも裏表である」とか、「幸せは他人が決めるものではない。自分が信じることである」とか、どちらも舞台で演じられた台詞通りではなく、今思い出して再現しているのだが、こういういわばいつかどこかできっと聞いたことのある陳腐な語句で綴られている台詞は今の若い人たちには決して恥ずかしくない新鮮な言葉なのであろうか?