演 目
A Warp Cafe
観劇日時/04.12.22
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater Vol.14
作/ゆみこ
演出/村松幹男
劇場/ラグリグラ劇場


新しい作家の誕生

 
お洒落なカフエ。静かで大人しい先輩のOL・サヤ(伊東笑美子)と積極的で前向きでどんどん新しい世界に挑戦・転職していく後輩のOL・ナツキ(吉田志帆)。
 親友を自認する二人はこの隠れ家的お洒落なカフエでお互いの絆を再確認するごとく厚く語り合う。消極的で物静かなサヤは恋愛に失敗した。恋敵に敗れた形だ。
 このマニヤックなカフェでの二人の長い話が、二人の絆をますます強くしていくように見える。サヤは頼りにしようとし、ナツキは頼られることで確認するようにみえる。
 本当はどうなのだろうか……? サヤが密かに想っていた相手の男が、実はナツキの男であったのか? イヤ、ナツキの相手が実はサヤの想う男であったというのがほんとうなのか? ここまでの話は、平凡な男と女が信じて裏切られた、しかしそれが逆であったのかもしれないと思わせる衝撃……よくあるストーリィだと思わせておいて、それがほんとうなのかどうかも分らない、ともう一つひねる……だが、どっちにしろ二人はお互いに相手を大事に想いながらほんとに信じられるのかどうなのか? 危ふい崖っぷちに立っているのだ。
 プロローグとエピローグは、二人がどこか遠い潮騒の聞こえる崖の上に立っているシーンで始まり、そして終わる。
 狂言回しとして現れる二人のコロス風の女はサヤとナツキの立場を説明するわけだが、二人の存在を普遍化させる枠組みを作ろうとした様式化の意図は分るけれども、やや馴染まずこのままでは中途半端で不要な気がする。ほとんどがこのカフェの二人の対話のシーンだから、この二人の微細なリアリティがこの芝居の存在を保証する。それに耐えるにはやはりこの二人には荷が重かったようだ。特に伊東は「乾杯〜それぞれの想い」の好演からみるとかなり生硬だ。吉田はやっと付いていっているという段階、難しい輻輳した心理ではあるが、この動きのほとんどない心理劇を演じるのは大変だったろうと思う。
 水曜劇場の演目は再演・再々演とロングランの中で成長する歴史があるので今後を大いに期待したい。