演 目
そこへ行け
観劇日時/04.12.11
劇団名/北海学園大学演劇研究会
公演回数/第51回定期公演
作/畑山慶太
演出/五十嵐圭輔
劇場/BLOCH


若さの向日性

 このストーリィは、何組かの多分5組くらいのグループの話が、次々に入れ替わって同時進行するのでとても分りづらい。しかも一つの話が別の話の過去であったり、一つの話と別の話がどこかで?がっていたりするから余計に混乱する。出演者は多数でしかもダヴル・キャストになっているので紹介を割愛します。もちろん時間や空間を自由に行き来する物語は別に珍しいことではない。むしろ演劇の表現として一つの優れた方法であることは論を待たない。しかし今日の舞台には、時間や空間を自由に飛び交う必然性が感じられず、恣意的にただ混乱しているだけのようにみえる。
 シーンとシーンとの繋がりに必要な要素が感じられず、充分に計算されたとは思われない。ただブツ切れの印象が強いから徒労感は濃い。
 だからといってこの芝居を否定しているわけではない。三つのことを感じた。
 一つは、「そこへ行け」というタイトルにも表されているような向日性と積極性だ。悲観しない未来への想いだ。そういう照れ臭くなるような一直線の情熱を臆面もなく繰り出す若さに頬笑ましさを感じる。それなのに何故こうも持って回った表現になるのだろうか? 何か気取っているのか、それが若さなのであろうか? 僕にも覚えがないとは言えない……
 次に、北海学園大学演劇研究会の演技者たちは、もっと達者でこなれた表現をすると思っていたのだが、今日の演技者たちはむしろ幼いというか単純で素直な表現が逆に新鮮だった。そういう一本調子の抑揚の少ない幼い演技に、むしろ若さへの好感を覚える。
 最後に、ここでもアンドロイドに象徴される存在に何物かを託そうとする心境……精神的にも肉体的にも自己が閉じ込められている状況の反映なのであろうかという典型的な結論が出てきそうだが……