演 目
自転車と少年
観劇日時/04.11.24
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater Vol.13
作/森下誠
演出/村松幹男
音楽/今井大蛇丸
劇場/ラグリグラ劇場


一人芝居・第四の形

 台詞に頼らず身体を動かすことでこの人物の心情を表現しようとする、しかしダンスのように整理された動きではない。日常的で即興的な動きだ。たとえば身体を掻き毟る、力いっぱい自転車を漕ぐ、丸めた紙くずでピッチングの形をやってみる、バットを振って仮想のベース上を走り回る、ひっきりなしにミネラルウオーターを飲む、空のペットボトルにわざとらしいまでに執着する、地図やノートにさまざまな記録を書き込む。こういった身体動作を主に使って表現する一人芝居は、おそらく今までに余りなかった表現法だと思われる。
 芝居とは人間対人間の葛藤の過程からドラマが産まれると信じている僕には、僕の分類法による一人芝居の三つの表現法のうちで最も多用される表現法が、実はその過程を見せていないという気がして、一人芝居は余り好きではない。ただし後の二つによる表現法では確かにその過程を見せる。この一人芝居の分類についての詳細は「風化」第135号P12を参照ください。
 今日の舞台の一人芝居は、この3分類に入らないのではないかと思う。一人芝居でありながら僕を魅了した要因の一つにきっとこれがある。
 なお、この芝居の内容については、前回と前々回の観劇記をみてください。