演 目
our town
観劇日時/04.11.12
劇団名/TPS
公演回数/養成所中間公演
原作 /ソートン・ワイルダー
演出/北川徹(HAPP)
劇場/シアターZOO


清潔で誠実な舞台

 ソートン・ワイルダーの『わが町』を北海道の七飯町に移し変えて台本を構成した作品。なぜ七飯町かというと、出演の学生たちがあっさりと探し出してきたそうだ。この芝居は世界中でその土地の物語に書き換えられて上演されているから、それで良いわけだ。
 一言でいえば、原作者の想いを身近に感じようと、設定した舞台の七飯町を一所懸命に愛しようとした静かな情熱が快いということに尽きる。
 もちろん年齢のバランスが悪く、無理だなと感じられる部分もたくさんあり、青臭く生齧りではあるが、だんだんそれが逆に清潔で誠実で若々しく新鮮に感じられる。ソートン・ワイルダーが描こうとしたのは、人生の哀歓を、静かな客観の世界ム死者の世界ムからもう一度見直してみようよ、ということか?
 柔らかく暖かく、人間賛歌・人生肯定がしっとりと浮かび上がってくる……やっぱり戯曲が良いのだなぁ、でもその良いホンを良い形で表現できたのは、そういう最低限の力を持ち得たからだということもできようか。ないものねだりとも言われるかもしれないけれども、素直ではあるけれども、若い一途な情熱の、間違えれば破滅もしかねないエネルギーが薄いのが心残りだ。そして個々の才能の迸るような煌きが薄いのも、ないものねだりであろうか?