演 目
自転車と少年
観劇日時/04.11.10
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater Vol.13
作 /森下誠
演出/村松幹男
音楽/今井大蛇丸
劇場/ラグリグラ劇場


母親の立場に重い物語

 一途な少年の心が犯した罪による暗闇の放浪、この世に残した愛着の切なさと地獄旅の苦悩。今日の二回目の観劇では、自転車に対する擬人化的な愛着と一体感は、人間一般に対する絶望と疎外感との対比がよく表われて巧く使われていたことが印象的であった。そしてもっと重大なのは、ラストの彼を抹殺した者が、母なのか? 母とすればその母は彼を救う者なのか、彼と一体になった母なのか? という問い掛けであった。
 自分がその母の立場にいたら多分自分もそうしたに違いないと思うと、背筋の寒くなる、救いのないずしりと重い物語ではある。
 宮崎勤事件のとき、僕の子どもが同じ世代で、ドキリとし、しばらく平静ではいられなかった当時の心境を思い出さずにはいられなかったからだ。