演 目
折り紙
観劇日時/04.6.29
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater vol.11
作・演出/村松幹男
照明オペレーター/村松幹男
音響オペレーター/湯澤美寿々
劇場/ラグリグラ劇場


水曜劇の尽きない魅力

 話の展開も役者の演技も、充分に判っているつもりのはずの芝居を、もう一度観たい、あるいは何度も観たいというケースはそうたくさんあるわけではない。いやそんな芝居はほとんどないと言った方が正しいかも知れない。
 シアターラグ203の水曜劇は、そういう演目が次々と上演されているのだ。しかもその一つ一つが、毛色の変わった、テイストの違った芝居なのだ。だからうっかり眼を離せない。
 今度の「折り紙」はかなり謎めいた物語だ。判り易くいえば、一種のホラー物語といってもいいかもしれない。だがホラーというのは論理的な説明が出来ない、不可解な世界の悪夢の物語をイメージしてしまう。そういうイメージに左右されて価値判断不能と思われてしまう。
 だが、この「折り紙」は、単に価値判断不能として割り切ってしまえるような単純なものではない。観るものの世界観によって登場人物の世界が果てしなく広がっていく可能性を感じるような劇世界があることを感じさせる。
 そしてしかもその劇世界は、同じ舞台を何度も観るたびに少しずつ少しずつ広がっていく。物語の微細な部分が創り手側の思惑を超えて、観る者に次々と新しい世界を広げていく。
 このクイズに挑戦するような知的な興奮、新しい世界が広がっていくのを発見することは自らの生の広がりの確認ともなる。
 それを求めてまた来週もこのラグリグラ劇場の客席に座っているであろう予感は心ときめかせるものがある。
 なお、この「折り紙」は、二組のキャストで上演され、今日はそのうちの、平野千恵美役を瀬戸睦代、多田瞳役を坂井秋絵、そして蛯沢篤志役は鈴木亮介で上演された組の千秋楽でした。

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