演 目
大山デブコの犯罪
観劇日時/04.6.20
劇団名/風蝕異人街・新ユニット「人魚サーカス+映蔵庫」
作/寺山修司
演出/こしばきこう
照明/和田研一
音響/JAMANI
劇場/アトリエ阿呆船


マイノリティへの共感

 その昔、不具に生まれついた子、人と違った形で産まれた子は、外見だけで共同社会から排除される存在であった。当然普通の人より外形の幅の広い人は、それが後天的であっても「でぶ」と呼ばれて、真っ先に排除され、差別される人であった。
 だが、……そのマイノリティに、異世界のロマンと幻想を垣間見る人の存在をどう評価すればよいのか? たとえば50年前、街々を巡る見世物小屋に群がる子供たちを含めた善男善女たちが託する想いとは何だったんだろうか? 単に自分と比べて自分の優位さを確認しただけだったんであろうか? マイノリティを差別することによって、己のアイデンテティを確認するだけであったんだろうか? マイノリティを容認することによって、己の精神の広さを自ら確認する満足度に酔うのか?
 「大山デブコの犯罪」は、オドロオドロしい表現の中に、現実に視覚的にデブコを誇示する何人かの肉体を見せ付けると、むしろそれらのデブの存在に強烈なシンパシイを感じてしまうのだ。
 この集団の台詞は、いつもその不自然な加工が気になるのだが、今日は今までと違って、寺山修司の台詞のせいか自然でリアリティの強い違和感の少ない台詞であった。
 
 出演=平澤朋美・魚田肉彦・片山ユキ子・青木毬裳・成田愛裕美・JAMANI・大澤ユキコ・藤田ナツコ・黒政和慈・黒橋理通子・柴田智之・平澤愛