演 目 Who Are You ? Who Am I ? 観劇日時/04.6.5 劇団名/RUSH!! 公演回数/緊急公演 作・演出/高橋逸人 照明/和田研一 音響/久保堅太郎 劇場/BLOCH |
琴似上演の拡大版 琴似で上演した舞台の再演かと思ったら、タイトルだけは同じで見事に全く作り変えられた作品になっていた。 三人の同僚中の一人加藤久(立川佳吾)が昇進した。あとの二人、織里誠(谷口健太郎)古市光太郎(長谷武)は本当に祝福しているのかどうか? 加藤の心の中の別人格が、酔っ払い(高橋逸人)として登場する。同僚の二人は、加藤のこれまでの生涯の様々な出来事を極端にオーバーに戯画化して演じる。 加藤は恋人鈴木祥子(飯田里果)との間のお互いの思いが微妙に食い違うという関係に悩んでいる。加藤の別人格である酔っ払い男には、天使か妖精のような女の子(加藤由紀恵)が常に付いていてときに応じて指示をしたり解説をしたりする。 「生き方を変えて生きる」「今の生き方のままで生きる」「すべて無にしてから生きる」の三択になったところが、琴似での舞台と違うところだ。 加藤の影の男(酔っ払い)が出たり、それをフオローする抽象的な女が出たりして、かなり判りづらくなってしまったようだ。琴似の芝居のような直線的な切れ味が薄れ、曖昧になったような気がする。 「ここに一個のりんごがあります。あなたはここにりんごがあるということを証明できますか?」「さらに質問です。そのりんごを見ているあなたがあなたであるということを証明できますか? それを誰が証明できますか?」という短いフレーズが、プロローグとエピローグで演じられる。つまりこの部分だけが、初演と重なるテーマを表わしているようだ。 今日も初演のときと同じに感じたのは、終演後の拍手が中々止まなかったことだ。カーテンコールが儀礼化しているのに対して、今日の観客は、拍手を止めなかった。琴似のときと似ている珍しいケースである。若い世代の審美眼を信用してもよさそうである。 |