演 目
殺意の終焉
観劇日時/04.5.15
劇団名/グループ森アトリエ劇場
公演回数/劇・空・間 其の四
脚色・総監修/小川道子
原作/アガサ・クリスティ
演出・照明・音響/瀬田石和実
劇場/りとるわんコミュニティホール


おそらく最小のスペース「りとるわんコミュニティホール」

 
アガサ・クリスティの「ねずみとり」を劇化した舞台。なぜか偶然、今日は二本とも幼児虐待を芯に据えた物語。観る方としてはまったくそんな意識もないままに来た筈なのだが、世の中、時の流れがある一つの方向へ向かうことってあるような気がする。
 たとえば家族再生の物語が続いたり、切ない純愛のストーリィに次々と接したり、今度は幼児虐待。いずれもいわば時のニュースに頻出するテーマであったりする。
 ストーリィはこの際置いといて、ともかくこの集団の演技は下手だ。何と言うか、下手は下手なりに固まったというか、「へたうま」というと褒めたことになるのか、おそらく彼らは他の芝居を観ていないのではないかと思われる。
 別に大げさな決まり芝居をするわけでもなく、臭い芝居でもなく、段取り芝居をするわけでもないのに、いや一部そういう部分がないわけでもないけれども、ともかくじつに不自然でリアリティのない不思議な演技をする。おそらく本人も演出もそのことがわかっていないのではないかと思われる。
 二時間に亘る推理劇のラストへくると、たとえば松本清張風の、つまり幼児虐待事件の20年後の悲劇としての連続殺人事件の真相が露になるというシーンでは、演技の技術を超えてシチュエーションの哀切が伝わったし、二時間飽きなかったのも確かだが、しかしこれは総て原作の物語によるところが、ほとんど100 %であって、それなら本を読んだ方が全く良いということだ。
 この劇場は札幌郊外地下鉄南郷17丁目駅近くの、巨大マンションの一階にある書店の一劃を仕切った極小のスペースであり、天井は極端に低く手が届きそうで、おそらく2m30くらいか? 客席の大きさは5m×8mくらいでキャパシティは30人ちょうど。舞台も恐らく同じくらいの大きさであろう。
 こんな条件の悪いところでも芝居は出来るのだというのが今日の最大の収穫。ここは「ラグリグラ劇場」よりも「芝居のべんと箱」よりも条件は悪い。
 出演者=瀬田石和実・東海林真弓・吉野忠男・田中真紀・海野尾由美子・椿めぐみ・清水孝俊・岡田玲子・中橋一維・山本千草